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三位一体の概念について

「三位一体」の概念は歴史的にいつ頃から、まただれによって定義づけられたのでしょうか。



 「三位一体」の原語は、ラテン語では「トリニタス(Trinitas)」、ギリシア語では「トリアス(Trias)」にあたります。ラテン語の「トリニタス」が最初にキリスト教文書に登場するのは、北アフリカのカルタゴで活動したテルトゥリアヌスが、二一七年から二二二年の間に著した『貞節について』です。ラテン神学では「一つの実体(substantia)、三つの位格(persona)」と定義されますが、三位一体に関して、これら「実体」、「位格」という用語を用いたのもテルトゥリアヌスでしたが、神学用語として明確にされるには、アウグスティヌス(354-430)を待たねばなりません。彼は神の似姿として造られた人間には、三位一体の神の痕跡が記されていると考え、人間の精神に見られる「精神・知・愛」、「記憶・理性・意志」の三一性と、愛するという行為においてみられる「愛する者・愛された者・愛」の三一性を提示し、後のラテン教会の三位一体論の道を開くことになります。中世のスコラ神学において、人間の精神にみられる三一性の探求はトマス・アクイナスによって、愛にみられる三一性の探求はサン・ヴィクトルのリカルドゥス、ボナヴェントゥラによって結実します。

 他方、ギリシア語の「トリアス」は、一八一年ごろ、アンティオキアの司教テオフィロスが著した護教論『アウトリコスへ送る』に登場します。ギリシアの三位一体論の形成に貢献するのは、四世紀のカッパドキアの三教父、バシレイオス、ナジアンゾスのグレゴリオス、ニュッサのグレゴリオスです。東方教会では「三位一体の神を賛美する三位一体の者」と言われ、特にナジアンゾスのグレゴリオスは「三位一体の神の歌い手」と言われ、「神学者」という称号が呈されています。彼らによる定義が「唯一の本質、三つの自立存在(mia ousia,treis hypostaseis)」です。

 このように三位一体の概念が明確にされる背景には、異端論争があります。御子を被造物とするアレイオス派の異端に対して開催されたのが最初の公会議であるニケア公会議(三二五年)であり、聖霊の神性を否定する異端に対して開催された第二回公会議であるコンスタンティノープル公会議(三八一年)です。主日ミサで唱えるようになった「ニケア・コンスタンティノープル信条」にそれは反映されています。そこで御子については「神よりの神、まことの神よりのまことの神、造られることなく生まれ、父と一体」と宣言され、聖霊については「神」とは断言されていませんが、「主であり、いのちの与え主、父と子とともに礼拝され、栄光を受け」る方と宣言され、父と子と同じように神であることがうたわれています。

●回答者=小高 毅神父(聖アントニオ神学院教授)
「家庭の友」(2006年3月号から転載)