井手口満修道士のこれって、どんな種?
主を待ち続けるという種
待降節第2主日(マルコ1・1〜8)
エリアの聖堂(イスラエル・タボル山教会内) 先日私の友人が訪ねてきました。この方は、この夏、海の家の管理を任されようやく、その仕事からやり終えたそうです。海の家ですからお客の入りや他のお客さんとのトラブル、周りの人とのトラブル、さらには、台風等の自然の問題も出て来ます。しかし、この友人は、窓辺から見える朝日や夕日を見るとそれだけで、黙想することができると言われていました。そして、その海の家を今回無事に片付けられたそうです。この方にとって、朝日、夕日の時間も励ましとなったでしょうが、この日までという【期日】も大切な支えとなったのかも知れません。
人は、【待つ】というとき、いろいろなことを考えるのではないでしょうか。国語の短文つくりではありませんが、【待つ】という言葉で、「待ちに待った……」「……を心待ちにする」「……を待ちわびる」「待ちこがれる」などの言葉があります。これらの【待つ】と言う言葉は、時間、場所、目的、相手、納期、期日などがあって始めて生きてきます。そして、【待つ】対象が、自分にとって心地よいものでしたら、それによって心が躍ることもあるでしょう。しかし、もしその時がいつなのか、はっきりしなかった場合はどうでしょうか。これは、とても緊張しますし、忍耐や信頼がいることになるでしょう。
先週のみことばの中には、「その日、その時はだれも知らない。」「気をつけて目を覚ましていなさい」という言葉がありました。他にも、花婿を待つ乙女や、タラントンを預けて旅に出た主人を待つ僕の喩え話のようにいつ帰ってくるのか、いつ来るのか分からない人を待つという喩え話もあります。これらの喩え話の共通とする「目を覚ましていなさい」という緊張を誘う言葉です。この緊張感が待つための一つの【準備】といってもいいのではないでしょうか。イスラエルの民は、旧約時代からいつ来られるのか分からない、しかし、必ず来られる【メシア】を何千年もの間待ち続けていました。
きょうのみことばのマルコ福音書は、「神の子イエス・キリストの福音の始まり。」という言葉から始まっています。この一節でイスラエルの民は、「ついに待ちに待った救い主メシアが来られる。」ということを感じたのではないでしょうか。続いて、イザヤ書が引用されます。この箇所はおん子が生まれるにあたって準備する人、道を整える人を遣わすことをおん父が語られておられるのです。イスラエルの民は、メシアが来られる時にエリアが来てメシアの到来の準備をすると伝えられていました。みことばは、「主の道を整え、その道をまっすぐにせよ」と伝え、その後に、洗礼者ヨハネが登場します。ヨハネの姿は、「らくだの毛の衣を着て、腰に皮の帯をしめ、蝗と野蜜を食物としていた」とあります。彼の姿は、まさにエリアの姿でした(列王記下1・8)。みことばは、ヨハネの姿を示し、彼がこれから来られるメシアの誕生の準備をする人として伝えています。
エリア(イスラエル・カルメル山の教会内) さて、この「主の道を整え、その道をまっすぐにせよ」というみことばは、私たちに対しても一つのメッセージと言えるのではないでしょうか。これは、「さあ、救い主がもうすぐお生まれになられる。だから、あなた方もふさわしい心で迎えることができるように準備をしなさい」と言っているように思われます。私たちは、いま典礼の中で【待降節】を過ごしています。そして、あと何日かすれば『主のご降誕の祝日』を迎えることも知っています。この点に関しては、イスラエルの民が救い主を待つことに比べると幾分待ちやすいと言えますし、準備もしやすいと言ってもいいでしょう。では、準備とはいったいなんでしょうか。
みことばは、「洗礼者ヨハネが荒れ野に現れ、罪の赦しへと導く悔い改めの洗礼を宣べ伝えていた。」と伝えています。この【悔い改め】と【洗礼】というのがイエス様の誕生を迎えるための【準備】と言えるのではないでしょうか。教会では、待降節の間に『共同回心式』が行なわれます。それは、洗礼の恵みをいただいている私たちが、改めて自分が洗礼をいただいていると言うことを感謝し、さらに、ふさわしい心でイエス様の誕生を迎えるための準備をするためと言ってもいいでしょう。
12月に入り、街には、クリスマスツリーやイルミネーション、リースが飾られ、クリスマスキャロルが聞こえるところもあります。このように、洗礼を受けていない人も、クリスマスの準備に入っています。洗礼の恵みをいただいている私たちは、彼ら以上にイエス様のご誕生を待ちわび、準備をしてもいいのではないでしょうか。私たちは、イエス様のご誕生を準備する者として、「主の道を整え、その道をまっすぐにせよ」というみことばを黙想しながら、イエス様のご誕生を希望を持って【待ち】続けたいものです。
HOME
HOME
バックナンバーへ