井手口満修道士のこれって、どんな種?
イエス様のところに居合わせる種
年間第3主日(マルコ1・14〜20)
カファルナウムの会堂 私たちは、何か不都合なことや過ちを犯した時に、周りに知られないように隠したり、ごまかしたりします。それは、その過ちに対して恥ずかしさや、後ろめたさ、または、自分の名誉や地位を守るためにそのような行動に出るのではないでしょうか。ある神父様が、「子どもたちがある年齢に達すると、自分の失敗を隠すために嘘をつくことがあります。そして、これは、ちょうど創世記に出て来る人祖が罪を犯し、おん父に問われた時に人のせいにして罪から逃れようとしたことと似ている。」と言われたことがあります。私たち人間は、様々な誘惑にあい、ときには負けて罪を犯してしまいます。しかし、洗礼の恵みを頂いている私たちは、【ゆるしの秘跡】というものがあってイエス様の慈しみによって許されます。このイエス様の愛の深さに感謝し信頼することは素晴らしいことです。
さて、きょうのみことばは、イエス様が弟子たちを召された後に、ガリラヤ湖からカファルナウムの会堂に来られたときの場面です。イエス様は、安息日にカファルナウムの会堂にお入りになります。カファルナウムは、ガリラヤ湖の北西岸の町で、東西に伸びる商業路があっていろいろな文化や他国との交流が盛んな場所でもあったようです。イエス様が主に宣教されたのもこの町のようです。イエス様は、このカファルナウムの会堂で人々に教えられます。みことばは「人々はその教えに非常に驚いた。イエスが律法学者のようにではなく、権威ある者のように教えられたからである。」とあります。人々は、律法学者が権威のもとに伝える教えと、イエス様が伝える教えが違うことに気がついたのでした。
では、どのように違うのでしょうか。律法学者の教えは、旧約の時代から口伝によって長い間伝えられた伝承を教えるものでした。しかし、イエス様は、神の子としての権威でありますし、神そのものの真の教えだったのです。人々は、子どもの頃から律法学者の教えを聞いていたのでしょう。そのため、イエス様の教えに対して新鮮さや興味、さらに心に直接とどくおん父の言葉に驚いたのではないでしょうか。これは、私たちにも共通することかも知れませ。私たちがミサや黙想などで真剣に三位の神からの声に耳を傾けた時、会堂に集まった人々のように何か新しい発見、感動を得ることができるのではないでしょうか。
カファルナウムの会堂 つぎに、みことばは「汚れた霊に憑かれた人がその会堂に居合わせて、叫んで言った。」とあります。この会堂には、偶然なのかどうかは分かりませんが、イエス様が教えている時に、汚れた霊に憑かれた人が【居合わせて】いたのです。もしかしたら、イエス様は初めからご存知だったのかもしれません。この人は、「ナザレのイエス、わたしたちをどうしようというのですか。」と言います。汚れた霊は、この人に憑いていることがとても居心地が良かったのでしょう。それで、イエス様にこの状態を奪われたくないためにこのような言葉を言ったのかもしれません。私たちもある意味では、罪の状態が心地よいというような傾きに陥ってしまう危険性があると言ってもいいかもしれません。このようにならないためにイエス様と親しい状態を保つことが大切になってくるのです。
続いて、「あなたはわたしたちを滅ぼすために来られたのですか。わたしはあなたがどなたであるかを知っています。神の聖なる方です。」と言います。汚れた霊に憑かれた人は、イエス様がどのような方で、自分がどのようになるかを知っていたのです。私たちは、良いことや成功した時よりも、失敗や不安、さらに、罪を犯した時の方がイエス様を意識してしまいます。それは、自分が犯した罪に対して神様への罪悪感を敏感に感じるからではないでしょうか。イエス様は、「黙れ、この人から出て行け」と言われます。この短い、権威に満ちた声に、汚れた霊は、その人をけいれんさせ、大声を上げて出て行きます。私たちは、自分が罪の状態から解放される時には、何らかの痛みを覚えるときがあります。それは、罪の傷が大きいほどこの苦しみは辛いかもしれません。しかし、それだけに許された時の喜びも大きいことでしょう。
私たちは、できることなら罪を避け、罪を犯さないようにしています。しかし、私たちは、【絶対に罪を犯さない】ということはできない弱さを持っています。そのような時に、いかにイエス様のもとに立ち返る勇気を持っているか、ということが大切なのです。汚れた霊に憑かれた人は、イエス様がおいでになる会堂に【居合せていた】のです。これが、私たちがイエス様に助けを求める力ではないでしょうか。私たちは、聖霊の助けを願いながらイエス様に「助けてください」と言う勇気を頂きたいものです。
※ここで、引用している聖書は、フランシスコ会聖書研究所註訳 『聖書』です。
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