井手口満修道士のこれって、どんな種?
祈りかつ働けという種
年間第4主日(マルコ1・29〜39)
ペトロの家 ベネディクト会の精神として「祈りかつ働け」という言葉があります。これは、働くことに重きを置くのではなく、基盤として祈りを行なわなければいけない、ということです。きっと、この精神は、観想修道会も、活動修道会も一日の中でミサ、黙想、詩編の祈り、念祷などの時間を中心にして使徒職を行なっています。このように、洗礼の恵みを受けて福音を伝える私たちは、活動に走りがちですが、祈りをすることの大切も忘れてはならないのです。
きょうのみことばは、先週に引き続きイエス様がカファルウムで奇跡や教えを人々に行なったことが伝えられています。イエス様が安息日にカファルナウムの会堂で汚れた霊を癒され、それに人々は、驚いてきました。それから、イエス様は、会堂を出てまっすぐシモンとアンデレの家に行きます。彼らの家は、カファルナウムの会堂から歩いて、1、2分の距離にありました。家では、シモンの姑が熱を出して床に就いていましたので彼らは、イエス様にそのことを知らせます。イエス様は、彼らからその知らせを聞いて、彼女の所に近寄って手をとって起き上がらせると、熱が引いて一同をもてなしました。
このみことばの中には、イエス様が【奇跡】を行なって人を癒すときに用いられている、【場所】(シモンとアンデレの家)、【容態】(熱を出して床に)、【懇願】(人々は彼女のことをイエスに知らせた)、【所作】(手をとって起き上がらせた)、【治癒の確認】(姑は一同をもてなした)というような一つの流れがあるようです。イエス様に癒された姑は、イエス様たちをもてなしましたが、たぶん、この日だけではなくイエス様たちがカファルナウムに立ち寄った時には、いつでも彼らをもてなしたのではないでしょうか。そして、いつの間にかここがイエス様と弟子たちの拠点のようになって、人々に教えたり、癒したりする場所になったのかもしれません。みことばには、「夕方になり日が沈むと、人々は、病人や悪霊に憑かれた者をみな、イエスのもとに連れてきた。……」とあります。このように、人々は、安息日が終わってからイエス様の所に行き、癒されたのでした。
ペトロの家の上に立てられた現代の教会 さて、イエス様は、次の日の朝早く、まだ暗いうちに起きて、人里離れた所に出かけ、そこで祈られます。私たちは、福音書の中でイエス様の奇跡やファリサイ派や律法学者たちとの論争、いろいろな教えといったことに目が行きます。しかし、ルカ福音書の中には特にイエス様の祈る姿として、弟子たちを選ばれる時(ルカ6・12)、受難の予告される時(ルカ9・18)、主の祈りを伝える時(ルカ11・1)などと、伝えています。イエス様は、このようにお一人で祈る時間を持たれました。きょう箇所でイエス様は、安息日であるのにも関わらず一日中人々を癒されました。それだけではなく、次の日の朝には、祈りの時間を取られています。この祈りの中で、イエス様は、人々を癒したこと、また、これから宣教活動のことなどをおん父との会話の時間とされたのではないでしょうか。
このイエス様が祈られている姿は、きょうのみことばの一つのテーマとして黙想することができるのではないでしょうか。私たちは、慌ただしく、また、多忙な毎日の中でゆっくり祈れる時間を作ることは難しいことです。しかし、そのような忙しい中でも、ほんの少し祈る時間を見つけてみてはいかがでしょうか。イエス様は、朝早くそして人里離れた所で祈られることで、日常の生活から離れて、集中できる祈りの時間を持たれたておられます。私たちの生活の中では、このように祈りの時間を持つということは、大変困難なことかもしれません、しかし、忙しいからこそ、この祈りの時間が大切になってくるのです。もしできることでしたら、忙しい中でもせめて僅かな時間でもかまいませんので、心の中で祈りの空間と時間を持つと言うのはいかがでしょうか。
現代の教会から見たペトロの家 イエス様は、「一緒に近くのほかの町や村に行こう。わたしはそこでも宣べ伝えなければならない。わたしはそのために出てきたのである。」と言われます。イエス様は、朝早く人里離れた所で祈りながら、祈ることで、こらからの宣教への力を得たのではないでしょうか。イエス様の宣教は、人々が集まる会堂で行なわれます。会堂は、ユダヤ人にとって礼拝の場であり、宗教教育の場であり、裁判の場でした。イエス様は、あえて人々が集まっている会堂を宣教の場としたのではないでしょうか。私たちは、イエス様が福音を効果的に伝え、また、祈られたように、私たちも祈りの時間を持ち、さらに、福音宣教への活力をいただきながら、多くの人々にみことばを伝えていきたいものです。
※ここで、引用している聖書は、フランシスコ会聖書研究所註訳 『聖書』です。
HOME
HOME
バックナンバーへ