吉田圭介神父のローマだより
プレゼピオ
もう時期的に遅いのでは、と思われるかもしれませんが、ローマで見かけたプレゼピオをご紹介しましょう。
プレゼピオ(馬小屋)はアッシジの聖フランシスコがグレッチアで始めた習慣で、それが今日まで続いています。小さなシンプルなものを飾っている教会もありますが、多くの教会はそれぞれ趣向を凝らしたものや大きなもの、実にさまざまなプレゼピオを飾っています。待降節から降誕節の期間中にイタリアを訪れるなら、教会のプレゼピオめぐりをしてみるのも面白いでしょう。
サン・ピエトロ大聖堂
これは有名なものです。広場のオベリスクの下に大きな小屋が作られます。24日まで幕がかけられているので、作業中は見ることはできません。日中は多くの人がこの聖堂を訪れますので、プレゼピオの前も人だかりです。その前で写真をとる観光客やシスターの姿も見られます。今年はフィリピンとバチカンの国交60年ということもあり、この隣にフィリピンの像も置かれています。楽しそうに楽器を演奏するものや、漁をするものなど、さまざまです。もちろん、大聖堂の中にも大きなプレゼピオが飾られています。ここも人だかりで記念撮影をする人が後を絶ちません。中央に天使が置かれ、主の誕生を告げる場面を表しています。左端には実際に水が流れる小川が作られ、右端に聖家族のいる小屋があり、時間がたつと夜から朝明けに変わっていきます。
サン・ピエトロ広場
サン・ピエトロ内
サンタ・マリア・アラチェッリ教会
ベネチア広場に行くと、大きなヴィットリオ・エマヌエレ2世記念碑がありますが、ちょうどその裏の長い階段を上ったところにある教会です。この教会も脇祭壇のひとつがプレゼピオのスペースとして使われており、ほぼ等身大の聖家族が置かれています。背景には無数の天使たちに囲まれ、天からイエスの誕生を見守る御父の姿もあります。聖マリア、聖ヨゼフともに美しい衣服を着ていますが、イエスの姿をよく見ると、冠をかぶり、飼い葉おけの上に立っています。じつはこの教会には「奇跡の聖なる幼子」と呼ばれるイエス像があり、この像はゲッセマネの園にあったオリーブの木で作られ、様々な奇跡があったとされています。この教会だからできるプレゼピオです。

アラチェッリ
ちなみにベネチア広場には大きなクリスマスツリーと電飾で作られたプレゼピオが飾られます。
ベネチア広場
サンタ・マリア・イン・トラステヴェレ教会
この教会はトラステヴェレ地区にある教会で4世紀半ば頃に完成し、その後、建て直しや修復などされますが、おそらくローマ市内で最初に建てられた公式な教会とされています。聖堂入口のスペースにはこの教会のファサードを模した丘が作られています。その前に聖家族が置かれていて、実際には「馬小屋」ではありませんが、ユニークなものになっています。裏側に回ると、家の中で食事をする人や、おしゃべりをする人、車椅子に座った男性などが置かれ、生活感にあふれています。聖堂に入ると脇祭壇のひとつがプレゼピオに変えられていました。聖家族の背景にローマの建物の写真が使われています。よく見ると、それは聖堂向かいにある建物の写真でした。ここでも入り口のプレゼピオのようにこの教会前でイエス様の誕生があったように演出されています。

トラステヴェレ
イタリアのプレゼピオ、とりわけ大きなものになると、聖家族とともに、その土地に生活する人々の像も置かれていることがしばしばあり、なかには聖家族が目立たなくなってしまっているものさえあります。
このようなプレゼピオは、私たちの救い主が私たちの街にお生まれになったのだという、飾った人々の信仰心がそうさせたものなのでしょう。毎年祝われるイエスの誕生は、約二千年前にあった出来事の記念ではなく、実は今もイエスが私たちの生活のうちにともにいてくださるということを記念するものなのでしょう。これらの生活感のあるプレゼピオは、そのことをより身近に感じさせてくれるものになっています。
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